ヒルクライムが好きな飛べない鳥

ヒルクライムが好きな飛べない鳥

2020年に札幌に引っ越してきて2021年からロードバイクを始めた、札幌初心者ロードバイク初心者。

【雪上マウンテンバイク】スパイクタイヤでの走行に適した路面とは?

以前スパイクタイヤの装着の記事を書きましたが、その当時はまだ根雪になっておらず走行感について何も書けませんでした。しかしその直後札幌にドカ雪が降り(24時間降雪55cmで観測史上最大らしい!)スパイクタイヤのレビューには絶好の路面となりましたので、実際に走行した感想を写真を交えながら書きたいと思います。

重たい新雪

重い新雪とは、水分を多く含んだ湿った雪ということです。外気温がプラスの時は大体これなので関東などでたまに降る雪はこれにあたると思います。今回の札幌のドカ雪は気温がプラスの日中から降り始めたので、最初に積もったのは重たい雪でした。札幌の人は雪が降ってもほとんど傘を差しませんが、それは大半の雪は払えば取れてあまり濡れないからです。しかしこの雪は服に付くとべちゃべちゃしてすぐに溶けるので結構濡れる嫌な雪です。

重たい雪とはいえ、せっかく雪が降ったので早速スパイクタイヤを履かせたマウンテンバイクで走ってみました。

暗いけれど5時前。この時はまだなんとか走れた…。

まずは降り始めの10cm以下くらいの積雪の場合です。走れるか走れないかでいうと、結構走れます。抵抗は大きいもののハンドルを取られたり後輪が空転したりすることなくまっすぐ走れます。カーブもオンロードほどとは言えませんが砂利道走るくらいの感覚で普通に曲がれました。ただこれは雪をつかんでいるというよりは柔らかい雪を割いて下の地面でグリップしている感じだったので、スパイクがない普通のマウンテンタイヤでも問題ないと思います。とはいえ雪の下につるつる路面が隠れていることも多々あるので安心感はスパイクのほうがあります。徒歩よりは圧倒的に早く、車がない私にとっては移動手段としても十分使えます。

一方で20cmくらい積もってくると話は途端に変わってきました。タイヤが完全に柔らかい雪の上に乗ってしまって、前輪は取られるし後輪は空転するしでまともに走れませんでした。前輪で深い雪を割く形になるのでかろうじてバランスをとって進めたとしても抵抗が大きすぎて非常に疲れます。当然カーブなどもってのほかで全くグリップが効きません。なので途中からはあきらめて押して歩きました。

この雪で進むのは困難。また、少々見づらいが写真からわかるようにリムやBB周りに湿った雪がまとわりつく。

また走行にはあまり関係ありませんが、重たい雪だとホイールやペダル、フレームに雪がまとわりつくので帰宅して室内にしまう時に雪を落とすのが非常にめんどくさかったです。頑張っても落としきれないので部屋の中で水がぼたぼた垂れて、その処理も大変でした。パーツにもよくなさそうな感じがしましたね。

初日はこんな感じで、重い雪でも浅ければ問題なく走れるが、雪がまとわりついて処理が大変だしパーツに悪そうということがわかりました。加えて、あきらめて押し歩きしているときに「ファットバイクならタイヤの接地面が大きいから走れるのかなあ」なんて、思わぬところで物欲が沸いてしまったりもしました笑。

軽い新雪

次に走ったのは軽い新雪の上です。主に気温が氷点下の時に降る、いわゆるパウダースノーというやつですね。

パウダースノー

この日は朝からバイトで、マウンテンバイクで出勤しようかと思ったのですが、何せ前日が突然の大雪だったので除雪が追い付いてないだろうと思って地下鉄にしました。結果としては通勤路のほとんどが夜中のうちに除雪されていたようで、全然乗れたみたいです。札幌の除雪能力恐るべし!業者さんいつもありがとうございます。

そんなこんなで日中は乗れなかったのですが、夜になると除雪された路面の上にパウダースノーが積もっていたので少しだけ乗ってみることにしました。

10cmくらいまでなら突き進める。でも雪の中の路面が見えないので油断していると縁石などに引っかかるかも。

結果としては前日の重い雪の時と似ていて、浅いところは雪を突き抜けて下の地面でグリップするので問題なく、深いところではグリップせず進めませんでした。重い雪よりも抵抗が少ないので若干走りやすい感じはありました。ただ一点異なるのは雪が自転車にくっつかないことでした。雪深いところに突っ込んだりもしましたが、帰宅して家の前でタイヤを浮かせてトントンすればほぼすべての雪が落ち、そのまま家に入れられるほどでした。これなら手間もないしパーツへのダメージも少なく済みそうです。

圧雪

次は圧雪路面です。日は空きますが、除雪された北大のメインストリートを走ってみました。結果としては、圧雪が一番走りやすかったと思います。

新雪と異なり適度な硬さがあるためタイヤが沈み込まず、走行抵抗が少なかったです。

一方で後述する凍結路面のように硬すぎないので、金属ピンが路面に刺さってグリップしてくれます。おかげでカーブも問題なくできました。

スパイクタイヤで一番楽しくスピーディに走れるのはこうした圧雪路面だと思います。

凍結

次は凍結路面です。凍結路面は普通のタイヤでは基本的に走れないと思ってもらっていいでしょう。冬靴を履いて歩いていてもわずかな傾斜で滑りますから、まして自転車ともなれば水平な路面をまっすぐ走るくらいしかできずカーブやブレーキ、加速をすればたいてい滑ります。

このテカテカ具合は完全に凍っている。歩きでも渡るのを躊躇する。

一方アイススパイカープロで走った結果、歩くよりも安全に走ることができました!ただあくまで「歩くよりは安全」というだけで、圧雪路面ほど安全に走れるというわけではありません。以下に詳細を述べていきます。

まず直進に関しては、水平な路面であれば問題なくできました。しかし凍結路面の多くは一旦溶けた雪が再び固まってできるので、その大半が水平ではなく凹凸があります。その凹凸に対して正面から乗り越える分には全く問題ないのですが、斜めから乗り上げると少し滑る感覚がありました。スパイクがのおかげでツルっと一気に滑ることはなくズルズルと少しずつスライドする感じでしたので、低速ならハンドル操作でバランスを取りながら進めました。でももしスピードに乗った状態で同じことになったら、体勢の立て直しのために切った前輪がグリップを失って転倒する可能性を感じました。ですので個人的には、よほど路面が平らな場合以外は15km/h以下くらいの低速で走るのが現実的だと思います。

次にカーブですが、これは低速で大回りならできるという感じです。ある程度以上の遠心力がかかってくるとタイヤが滑る感覚があります。これも直進の時と同じで完全にスリップする前に滑っている感じが伝わってくるのでそのラインを越さないように走ればよいですが、正直快適に曲がれるとは言えないです。

最後にブレーキです。これは直進やカーブと違って割としっかりできました。凍結路面で少し強めにブレーキをかけると、ガリガリと路面を削りながら止まってくれました。歩行者や車との交通事故を防ぐためにはブレーキができない車両は乗るべきでないと思うので、この点は安心しました。ただし曲がりながらのブレーキは禁物です。

リアブレーキをかけると路面をひっかくようにして止まる。

以上の点を踏まえて凍結路面に関して思ったのは、滑ることでグリップを発揮するということです。

通常の直進時には氷が固すぎてピンが路面に刺さっておらず、グリップ力は非常に小さいと感じました。実際凍結路面上を走ると雪のないアスファルトの上を走る時のようなバリバリという音が出ることからも、ピンが刺さっていないことが分かりました。なので少しの横Gで滑る感覚があり、不安になります。野球やサッカーの経験者ならわかると思いますが、スパイクシューズをはいた状態でトイレのタイル床を歩いている感じです。あるいはサイクリスト目線ではspd-slでコンビニを歩く感じにも似ているでしょうか。

一方でそれらの例と異なるのは、少し滑るとスパイクが路面を削ることでグリップを発揮し始めるというところです。ですので直進時にブレーキをかけると路面を削りながら止まれますし、カーブや傾斜でも少しずつ滑るものの、そのことで路面を傷つけてグリップを稼いでいるように感じました。

ただ、これは自分の運転技量の問題かもしれませんが、滑りを立て直しながら直進したり滑りながら曲がったりするのは怖くてできないので、現実的には氷にピンが刺さっていない状態、つまりタイヤを滑らせなくても得られるグリップ力でハンドリングできる速度で走りました。大体15km/h以下でした。

シャーベット

おそらく一番厄介なのがシャーベットです。

おもにプラス気温の時に車のタイヤで削られてできるみたいで、轍に沿ってシャーベット状になっていることが多いです。まず、踏むとぐずぐず崩れるので前輪がとられますし後輪も空転します。なので轍を垂直にまたぐくらいなら勢いで行けますが、轍に沿って平行にすすんでいくのは厳しいです。カーブもほぼできず、ハンドルを切ると曲がりたい方向と逆にズルズル滑っていきます。

さらに厄介なのが、一部が融けて水になっているのでスピードを出して走ると体と自転車がびちょびちょになります。その対策で私はリアの泥除けをつけていますが、車体が濡れるのは防げず、融雪剤がまかれていたりするとパーツが錆びる原因にもなります。

気温がプラスになるとシャーベットができやすいので、スパイクタイヤでマウンテンバイクに乗りたいと思うと真冬日(最高気温が0度未満)のほうがありがたいと思ってしまいます笑。ありがたいことに?真冬日ばかりなのでシャーベットにはあまり出くわしておらず写真は撮れませんでした。

サクサク?な路面

見た目以上に厄介なのが、シャーベットと圧雪の中間くらいのサクサク路面です。この名前は自分の中で勝手につけました。

名付けて「サクサク路面」

シャーベットと違うのは融けていないという点で、歩くぶんには滑らないし濡れないしで非常に良いです。気温の低い日に、自動車によって圧雪路面が削られてできるようです。しかし自転車で走ろうとすると、新雪の時と同じようにタイヤが埋もれてハンドルがとられます。さらにたちが悪いのが、こうした路面は轍にできることがほとんどなのでそれに平行に走ると思い通りに左右に動けずに転びそうになります。たとえるなら歩道と車道の段差を浅い角度で乗り越えようとしてタイヤを取られる感じです。

シャーベットに比べて足を着いてもビショビショになることはないだけましだと思いますが、見た目のわりにタイヤを取られるのでスピードが出た状態で突入してしまうと危険です。実際こうした路面で転んでいるクロスバイクを見かけました。

まとめ

以上を直進、カーブ、ブレーキ、汚れにくさ、の四項目に分けて表にしてみました。

直進カーブブレーキ汚れ
重い新雪(10cm以下)×
重い新雪(深い)××××
軽い新雪(10cm以下)
軽い新雪(深い)×××
圧雪
凍結
シャーベット××××
サクサク××
×△〇◎の四段階評価

意外と項目が多くて見づらくなってしまいましたが、やっぱり圧雪路が圧倒的に走りやすかったです。

スパイクタイヤで雪道を走る方は上記のような特徴を把握して、夏よりも路面に注意しながら安全運転につなげてもらえたらと思います!